カッティングブレードの成長予測:2031年には2017百万米ドルに到達へ
カッティングブレード世界総市場規模
カッティングブレードとは、半導体ウェーハ、セラミック、サファイア、ガラス、電子部品などの脆性材料を高精度に切断・分割するための超硬質切削工具である。一般的にはダイヤモンドやCBN(立方晶窒化ホウ素)などの超硬粒子を結合剤で固めたホイール形状を持ち、微細な切削精度と加工安定性を同時に実現する。微細化が進む半導体製造や5G通信デバイス、パワーエレクトロニクス、LEDなどの分野では、数ミクロン単位の切断精度が求められるため、ブレード性能の差が製品良率や歩留まり率に直結する。そのため、カッティングブレードは単なる工具ではなく、先端産業の品質と収益を支える「基盤技術」として位置づけられている。
図. カッティングブレード世界総市場規模

驚異的な市場拡大——需要を駆動する半導体と新素材産業
YHResearch調査チームの最新レポート「グローバルカッティングブレードのトップ会社の市場シェアおよびランキング 2025」によると、2024年の1528百万米ドルから2031年には2017百万米ドルに成長し、2025年から2031年の間にCAGRは4.0%になると予測されている。この成長を牽引するのは、半導体チップやMEMS、光電子素子、セラミック基板などの精密分割需要である。特に先端ロジックICやSiCパワーデバイスの製造では、ウェーハ硬度と厚みが増し、従来型ブレードでは加工品質が限界に達しつつある。その結果、微粒ダイヤ構造の改良や新結合剤技術の開発、さらに自動化装置との連動最適化が進むなど、ブレード技術の進化が市場拡大と密接に連動している。
また、アジアを中心に新興エレクトロニクス産業の勃興が顕著であり、中国、韓国、台湾における半導体・光電メーカーの生産能力増強が、ブレード需要を継続的に押し上げている。これに伴い、カッティングブレード市場は今後10年で高機能化・高寿命化を軸に持続的成長を遂げることが確実視される。
図. 世界のカッティングブレード市場におけるトップ13企業のランキングと市場シェア(2024年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)

YHResearchのトップ企業研究センターによると、カッティングブレードの世界的な主要製造業者には、DISCO Corporation、Kulicke & Soffa、Asahi Diamond Industrial、Saint-Gobain (Norton)、UKAM Industrial、東京京精密(ACCRETECH)、光力科技(ADT)、韓国二和 (EHWA)、上海新陽、中砂KINIKなどが含まれている。2024年、世界のトップ10企業は売上の観点から約91.0%の市場シェアを持っていた。
市場シェア構造を見ると、DISCO Corporationが圧倒的なリーダーとして世界首位のポジションを占めている。同社はウェーハダイシング装置とブレードを一体で最適化する独自戦略により、他社の追随を許さない。続いて、Asahi Diamond Industrialが高信頼性ブレードで存在感を示し、UKAM Industrial、韓国のEHWA Diamond Industrialが高硬度材料加工分野で競合している。
一方、中国メーカーの台頭も著しく、上海新陽、蘇州賽爾科技有限公司、国機精工(三磨所)などが、コスト競争力と地域供給網を武器に急速にシェアを拡大している。さらに光力科技(ADT)、中砂KINIK、西斯特SSTなども特定用途向けに差別化を図り、Saint-Gobain(Norton)や東京精密(ACCRETECH)などの老舗メーカーも依然として高品質市場を維持している。
このように、カッティングブレード市場は「日本の技術力 × アジアの量産力 × 欧米の材料開発力」という三極構造の競争軸が形成されつつあり、各社が製造精度、耐摩耗性、価格性能比の最適解を追求する激戦の様相を呈している。
高精度社会を支える次世代コア技術へ
今後の市場成長の焦点は、ブレードそのものの性能向上だけでなく、デジタル化と装置最適化の融合にある。AIによる切断条件制御や、IoT対応のブレード摩耗モニタリング、ナノ結晶ダイヤ構造の採用などが次世代トレンドとして浮上している。また、環境負荷低減に向けた無冷媒・低スラッジ加工のニーズも強まり、サステナビリティ対応型ブレードの開発が差別化の決定打となりつつある。
こうした潮流の中で、カッティングブレード産業は単なる消耗品市場から脱却し、「精密加工のインフラを支える戦略的素材産業」へと進化している。半導体、光通信、車載エレクトロニクス、医療機器、再生エネルギーなど、あらゆる先端産業の裏側でこの小さな刃が“未来の精度”を切り拓いているのである。
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