全国最先端の重伝地区の在り方を提唱する、 『津山城東リノベーション展』開催のお知らせ
このたび、一般社団法人日本建築設計学会は「津山城東リノベーション展」を開催する運びとなりました。津山市城東地区での当学会の取り組みは、昨年、津山街デザイン創造研究所の招きにより開催した「第10回アーキテクツ・オブ・ザ・イヤー展」津山巡回展に始まります。
アーキテクツ・オブ・ザ・イヤー展は2015年にスタートし、毎年異なるコミッショナーが独自の視点とテーマをもって選出した若手建築家を紹介する展覧会です。節目となる第10回では、トーマス・ダニエル京都大学教授をコミッショナーに迎え、「UNDER RENOVATION」をテーマに9組の建築家が選定されました。各建築家の作品は、古い建物の改築や増築を通じて、形・空間・素材の新しいハイブリッドを生み出し、調和とコントラストを織りなす多様な手法を披露しています。
津山市城東地区もまた、重要伝統的建造物が立ち並ぶ一方で、新たな空間や機能を生み出すリノベーションが進められ、歴史と現代が渾然と調和する独自の景観を見せています。会場となるPORT ART&DESIGN TSUYAMAは、歴史的景観と現代的な文化活動が交差する場であり、城東地区の可能性を探る本展の趣旨にふさわしい舞台と考えています。
本展では、城東地区を舞台に展開されている多彩な取り組みをご紹介します。建築文化を身近に体験できる「建築ミニチュアミュージアム」、地域課題に応える「空き家リノベーション計画」、また、「城東まちづくりへの提言」や「城東ゲート(空地門扉案)」といった提案型の展示など、建築とまちづくりをつなぐ多様な実践をご覧いただけます。
なかでも、「空き家リノベーション計画1」と「空き家リノベーション計画2」は、現在実際に工事が進行中のプロジェクトです。
「空き家リノベーション計画1」は、城東地区の入口にあたる橋本町に位置する伝統的建造物の一つを改修対象とし、『美都(びと)A&A(アート&アーキテクチャー)ホテル(仮称)』として整備を進めています。建築とアートに特化した宿泊施設を目指し、二階部分をホテル客室に、一階部分にはホテルロビーを兼ねた「建築ミニチュアミュージアム」を設け、「現代建築研究所 津山」として、現代建築に関する研究や展示の場としても活用する予定です。
「空き家リノベーション計画2」は、城東街並み保存地区内でも景観上特徴的な「大曲り」近くに位置します。二階部分を宿泊施設『美都DISCONTホテル(仮称)』として整備し、一階部分には、独自焙煎のコーヒー豆専門カフェとセレクトショップを併設する計画です。珈琲文化と交流をテーマに、「珈琲の文字が生まれたまち」として知られる津山の特色を活かした地域拠点として生まれ変わる予定です。
また、建築家ル・コルビュジエの弟子であり、津山出身の洋学者・箕作阮甫の子孫にあたる建築家・吉阪隆正とのつながりを通じて、津山はル・コルビュジエともゆかりのある地です。そのため、いずれの計画においても、色彩を単なる装飾ではなく空間構成のための建築的要素と捉えたル・コルビュジエの色彩理論を応用したデザインとなっています。
さらに、本展では、ル・コルビュジエが設計し、現在当学会が所有するコンクリート船「アジール・フロッタン」も紹介します。これらの多彩な展示を通じて、地域の歴史と未来を重ね合わせ、新しいまちづくりの視点を提示します。
城東津山リノベーション展
会期 :2025年10月25日(土)~11月9日(日)
10:00-18:00(入館は17:30まで)
休館日:火曜日
会場 :PORT ART & DESIGN TSUYAMA(〒708-0841 岡山県津山市川崎823)
入場料:無料





































