ウズベキスタン大統領が12月18日~20日まで訪日 ウズベキスタンと日本が戦略的パートナーシップを拡大
2025年12月18日から12月20日まで「中央アジア+日本」対話首脳会合に出席するためウズベキスタンのミルジヨーエフ大統領が日本を訪問します。訪日では天皇陛下との御会見や高市首相、衆参両院の議長、国会議員との会談、経済界との会合が予定されています。

1992年1月26日にウズベキスタンと日本との間で外交関係が樹立されて以降、その関係は政治、経済、文化、地域間交流において発展してきましたが、今回の訪日はパートナーシップのさらなる強化にとって重要な節目となります。
この30年間で両国は相互の尊敬と共通の戦略的関心事に基づき、様々なレベルで飛躍的なパートナーシップを築いてきました。前回の大統領訪日(2019年12月)は経済、投資、人文分野の事業の推進にとって新たな契機となり、相互連携の長期的ビジョンを描く重要な出来事となりました。

国際場裏においてもウズベキスタンと日本は国際機関などを通じて実り多い相互連携を図っており、お互いの立場を支持しています。ウズベキスタンは今まで40回以上も国連機関への日本の立候補を支持しており、日本は中央アジア非核兵器地帯条約や宗教寛容啓蒙に関する決議、SDGs達成のための若者支援と議会の役割に関する決議などウズベキスタンが提案してきた各種国連総会決議の共同提案国となってきました。
両国の議会間交流も二国間関係の戦略的一面を物語っています。両国議会には友好議員連盟が設置されており、定期的に議会間フォーラムが開催され、相互の訪問や会談、オンライン会合なども実施されています。
ウズベキスタン・日本の交流
外務省間の交流も活発で、2002年から19回にわたり政務協議が行われてきました。また、2025年8月25日に開催された第1回日本・ウズベキスタン外相戦略対話は重要な出来事となり、これは相互連携が長期的なものであること、双方があらゆる分野で相互互恵協力の拡大を目指していることを強調するものとなりました。
在日本ウズベキスタン名誉領事も両国間の協力の発展において大きな役割を果たしており、経済、文化交流を積極的に推進しています。

経済分野
経済交流は産業、エネルギー、通信、インフラ、イノベーション、運輸、グリーン経済などで大きく発展しています。貿易において、日本はウズベキスタンの最恵国待遇の対象国となっており、貿易高は近年堅調な伸びを見せています。
ウズベキスタン・日本、日本・ウズベキスタン経済委員会は両国の経済プロジェクトを推進する上で重要な仕組みとなっています。
現在、ウズベキスタンには日本の資本による120社の合弁企業、13の大手企業の事務所があり、石油ガス、化学、機械工業、ロジスティクス、教育、観光などの分野で事業を推進しています。また、日本の金融機関もウズベキスタン経済の近代化において戦略的な役割を果たしています。
2025年1月にはタシケント市において国際協力機構と脳神経センターの建設及び機材整備事業を対象とする円借款貸付契約(1億5000万ドル)を調印しました。この事業はウズベキスタンの医療整備にとって重要な一歩となります。
文化人文分野
両国の文化人文交流は特に深く、20年以上前から日本ウズベキスタン協会や福島県ウズベキスタン文化経済交流協会などが活動を行っています。
両国の文化事業も両国民の対話を促進しています。2022年4月には東京において「シルクロードの精神~文化と友情の架け橋」が開催されました。2024年には「日本の宝石」が「ボイスンの春」フェスティバルのコンクールで第3位に輝きました。
教育分野
教育は人文交流において最も著しい発展を遂げている分野です。ウズベキスタンの7つの大学で2500人以上が日本語を学んでいます。国内にはウズベキスタン日本人材開発センターもあります。日本の留学生受入制度「人材育成奨学計画」を通じ、東京大学、名古屋大学、筑波大学、慶応大学、豊橋技術科学大学などとの交流が盛んに行われています。400人以上のウズベク人が同制度を通じて日本に留学した他、2500人のウズベク人がスキル向上のため日本での研修を受けました。教員の交流や両国の学長会議も定期的に開催されています。
ヘルスケア分野
日本はウズベキスタンのヘルスケアの整備にも資金援助、技術支援を行っており、医療機関の機材整備や人材育成、ワクチンの確保などに6000万ドル以上の資金を提供してきました。また、100人を超える日本人ボランティアがウズベキスタンで仕事に従事し、200人以上のウズベク人医療関係者が日本で研修を受けました。
地方交流
地方自治体間の交流も二国間関係において重要な位置を占めています。現在、リシタンと舞鶴、タシケントと名古屋、サマルカンドと奈良の間で交流があり、奈良でサマルカンドのイベント、名古屋でウズベキスタンの文化イベントなどが開催されています。
観光分野
ウズベキスタンの文化や歴史に対する日本人の関心が高まっており、観光交流も活性化しています。直行便の増加や観光の推進、快適なインフラの整備などによって、ウズベキスタンを訪れる日本人観光客数は順調に増加しています。
カラ・テパやファヤズ・テパ、ダルベルジン・テパなどテルメズ近郊にある仏教遺跡は特に日本人観光客を惹きつけています。日本の学術関係者の研究により、これらの遺跡は国際的にも知られる文化遺産となり、世界中から観光客や専門家が訪れています。
今年開催された大阪・関西万博のウズベキスタンパビリオン「知の庭:未来社会のラボラトリー」も大きな注目を集め、最も人気のあるパビリオンの一つとなりました。そして、「公式参加者褒賞」の「テーマ解釈」部門において、金賞に選ばれました。万博でウズベキスタン国立交響楽団が初演した「Celestial Dance」は日本人の心を魅了しました。

今回の訪日について
今回の訪日で大統領は第一回「中央アジア+日本」対話首脳会合に出席します。「中央アジア+日本」対話は中央アジア諸国の政治的団結が強いことを示しており、ウズベキスタンの地域協力の優先課題に適う枠組みの一つとなっています。
「中央アジア+日本」対話の協力枠組みは2004年8月24日にタシケント訪問中の当時の川口順子外相が発案したものです。この枠組みの当時の目的は、地域の平和と安全、改革と社会発展への支援、地域内交流の強化、中央アジアと隣国並びに国際社会とのパートナーシップの発展、地域並びに世界の喫緊の課題における協力とされていました。
現在、この枠組みは信頼に基づいて相互に連携し、持続可能な発展に関わる喫緊の課題について協議をしていく場へと変化しています。
日本による中央アジアのインフラ整備も常に重要な協力の形となっています。JICAやJBICは輸送路やロジスティックセンター、道路、生活インフラ、空港、鉄道などの近代化事業に参画しています。これらの事業は地域のつながりを著しく強め、トランジットとしての役割を高め、東アジア、中東、ヨーロッパを結ぶ重要な架け橋の一つとして中央アジアの役割を高めています。
デジタル化や自動化において先端技術を持つ日本はその経験を中央アジア諸国と積極的に共有しています。ウズベキスタンはIT分野を急速に発展させ、ITパークやテクノパークを開設し、デジタル経済を推進し、国内の人材育成のために日本の専門家を誘致しているため、この分野での日本との協力は特に重要と考えています。
ウズベキスタンは中央アジアで最大の人口を有する交通輸送の重要な中心地の国として、「中央アジア+日本」対話の議題の形成に特別な役割を果たしています。近年、ウズベキスタンは様々な分野において新しいプロジェクトを提案し、協力内容の充実に大きく貢献しています。
この20年間で「中央アジア+日本」対話は広い分野で相互連携を構築するためのパートナーシップという揺るぎない仕組みを確立するに至っています。
今回のウズベキスタン大統領の訪日と「中央アジア+日本」対話首脳会合は二国間、そして多国間の政治連携を深化し、経済・投資協力を拡大し、教育・学術交流を強化するものとなります。相互互恵関係の拡大を積極的に目指すウズベキスタン大統領の立場は同国が地域の統一を図り、開かれた建設的な国際的対話を求めていることを改めて示すものになります。





