スマートグラスで「ステーション単位のごみ収集量を可視化」 AI画像解析による次世代収集DX、 2026年1月より滋賀県・東京都で実証実験開始

2025-12-15 15:45
滋賀新聞GovTechイノベーションズ株式会社、有限会社アナログエンジン

家庭ごみ収集の現場では、1日に数百箇所へ及ぶごみステーションの巡回や、ステーションごとに割り当てられた短い収集時間が課題となり、従来は“収集した/していない”といった最低限の記録のみで、正確な収集量の把握はほぼ不可能でした。結果として、自治体は自治体自身または住人・事業者の申告によりステーション設置を続けざるを得ず、人口動態の変化に伴って需要と供給が乖離し、過剰ステーション・不足ステーションが混在する状況が全国で問題となっています。
当グループ(滋賀新聞GovTechイノベーションズ株式会社・有限会社アナログエンジン)はこの課題に対して、スマートグラス×AI画像解析×位置情報技術を組み合わせた、まったく新しい収集DXプラットフォームを開発し、2026年1月より滋賀県および東京都の一部地域で実証実験を開始します。

2026年正式公開のスマートグラス(ディスプレイ表示は異なる場合があります)

2026年正式公開のスマートグラス(ディスプレイ表示は異なる場合があります)

「見る・ワンタップするだけ」で収集量が自動記録される世界へ

作業員がステーション前でごみを視認し、スマートグラスをワンタップ。
これだけで
・スマートグラスが取得した映像から、AIを利用し、ごみ量(個数・体積・種別など)を予測・判定結果を位置情報と共に日報へ自動記録
・音声またはスマートグラスディスプレイへの表示で作業員に即時フィードバック
・登録済みステーションはもちろん、未登録ステーションの検出・新規登録補助まで対応
つまり、従来のように手入力や写真撮影、報告書編集といった工程はすべて不要となり、現場で作業員が行うのは「ステーションを視認→ワンタップ」だけになります。

スマートグラスとは

スマートグラスは、眼鏡型のデバイスにカメラ・ディスプレイ・通信機能などを備え、作業員が手を使わずに情報を取得できるウェアラブル端末です。視界に情報を重ねて表示でき、現場作業の負担軽減やリアルタイム確認に適した次世代デバイスとして注目されています。

収集量の蓄積が「ステーション配置の最適化」を可能にする

本プロダクトは、日常的に常時スマートグラスを装着して利用することを前提としたものではありません。自治体や事業者がステーション配置の見直しを検討する一定期間に合わせて集中的に活用することで、必要十分なデータを効率的に取得できる設計としています。本プロダクトの最大の価値は、単なる記録ツールではなく、自治体全体の収集インフラを再設計できる点にあります。

一定期間、AIによる収集量データを蓄積すると
・各自治体の廃棄物総量に対するステーション単位の寄与度を数値化
・居住形態・人口変動に応じた適正ステーション数をデータから算出
・過剰ステーション・不足ステーションを定量的に提示
・ごみ量の偏在を可視化し、収集ルート最適化(作業量・燃料軽減)に貢献

これまで申告頼みだったステーション設置を、科学的根拠に基づいた都市インフラ設計へと進化させる、ごみ業界における大きな転換点となることを目指しています。

独自AIによる“ごみ量特化型画像解析”など新機能を開発中

当初はクラウドサービスの汎用APIを利用しますが、当グループでは並行して、ごみ特有の形状・袋材質・積まれ方・色・透過性・袋膨張率などに最適化された独自AIモデルを開発しています。
さらに本モデルは、ごみ収集現場の“実際の見え方”に特化した推定機能を備えています。例えば、ステーションの形状や設置パターン、袋の平均サイズ・色・膨らみ方などの特徴量を組み合わせることで、見えない位置に重なって隠れている袋の推定数を算出したり、コンテナ(ボックス)型ステーションの場合は、内部の容積に対する充填率を画像から推定し、資源ごみの実質的な総量を予測することが可能です。これにより、単なる写っている“個数カウント”を超えた、現場状況に即した高度なごみ量推定を実現します。

本モデルは
・スマートグラス映像に適したリアルタイム推論構造:収集作業を止めることなく、その場で映像を解析し、作業の流れを妨げずにごみ量を把握します。
・距離と角度を補正する空間推定アルゴリズム:作業員の立ち位置や視線の角度による見え方の違いを補正し、どの位置から見ても安定した推定ができるようにします。
・人手ラベルの限界を補う教師なし特徴抽出:事前に大量の正解データを用意しなくても、現場映像の特徴を自動的に学習し、さまざまなステーション形状に対応します。
・収集現場での反復データから精度が向上する継続学習:日々の収集データをもとに少しずつ精度が高まり、地域や季節ごとの特性にも適応していきます。

といった仕組みを備え、今回の実証実験を通じて精度向上を図ります。あわせて、作業員の操作を必要としない動画解析にも取り組んでおり、スマートグラスや車載カメラ等から取得される連続映像を用いて、ステーション単位の収集量を自動的に推定する次世代システムの研究開発を進めています。さらに、解析能力の高度化により、将来的には家庭ごみに限らず、粗大ごみの申込状況データと現場映像を照合することで、現地での現認作業を軽減する運用も視野に入れています。最終的にはクラウドと自社サーバーを併用したハイブリッド構成とし、自治体規模やセキュリティ要件に応じて最適な運用が可能なアーキテクチャを想定しています。

今後の展開

・2026年1月  :滋賀県の一部地域・東京都の一部地域にて実証実験開始
・2026年春   :AIモデルの精度評価・改善版リリース
・2026年5月  :東京ビッグサイト「2026NEW環境展」にて正式リリースおよびデモ体験会を実施
・2026年6月  :既存GoMeシリーズとシステム連動、ダッシュボード機能を拡張(量予測・偏在分析)
・2026年6月以降:全国自治体・委託事業者向けに正式提供開始予定

当グループがこれまで取得してきた位置情報×ウェアラブル×収集管理特許群とも連携し、収集作業の自動化とデータ利活用を両輪とした“ごみ収集DXの決定版”を目指します。

また本プロダクトは、自治体・民間事業者を問わず導入しやすい価格帯での提供を予定しており、規模や予算の大小に左右されることなくDXに取り組める環境づくりを重視しています。デジタル化の流れを止めることなく、現場と行政、企業をつなぐ社会的インフラとして、持続可能なDXの実装に貢献していきます。

製品・提供に関するお問い合わせ

滋賀新聞GovTechイノベーションズ株式会社
有限会社アナログエンジン
TEL    : 077-514-0220
Email   : contact@shigashinbun.jp
代表取締役: 神野 晋一
事業内容 : 廃棄物収集管理SaaS「GoMe53」を中核とした、データに基づく都市設計・まちづくり支援プラットフォームの開発・運用
URL    : https://www.gomi53.com/

【東京】〒108-0074 東京都港区高輪4-11-23 AUBE TAKANAWA 402
【滋賀】〒524-0032 滋賀県守山市岡町104-1
【大阪】〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1丁目11-4 大阪駅前第4ビル1階10号

注意事項

本技術は研究開発中であり、一部機能は開発段階のものです。
AIによる推定結果は参考情報として提供され、現場判断を代替するものではありません。
価格・仕様・提供開始時期は予告なく変更となる場合があります。
商標は各権利者に帰属します。
本プロダクトの主要技術は特許取得済みまたは特許出願中です。