下水道用低炭素セグメントの実用化に向けた実証実験を開始
― 硫酸劣化対策とCO2排出量70%削減を同時実現し、道路陥没事故の根本解決へ ―
2025-11-11 11:15
安藤ハザマ(本社:東京都港区、代表取締役社長:国谷 一彦)は、大分市上下水道局(上下水道事業管理者:西田 充男)と共同で、コンクリート劣化等の下水道インフラが直面している課題を解決可能な「下水道用低炭素セグメント」について、実用化に向けた実証実験を開始しました。

- 取り組みの背景と下水道用低炭素セグメントの特徴
近年、下水道施設のコンクリート劣化が原因となる道路陥没事故が全国で頻発しています。また、地球温暖化防止のため、CO2排出量削減も求められています。
そこで、当社が独自開発した「防菌剤」(注1)と「低炭素セグメント(R)」(注2)を組み合わせることにより、下水道施設特有の硫酸劣化に対する抵抗性能が高く、製造時のCO2排出量を従来比70%削減可能なRCセグメント(下水道用低炭素セグメント)を製造し、その実用化を推進しています。
- 実証実験の進捗状況
下水道用低炭素セグメントに関する実証実験の進捗状況は以下の通りです。
(1) 2025年9月:製造技術の確立に成功
安藤ハザマ興業株式会社千葉工場において、防菌剤を配合した低炭素セグメント(R)(CO2排出量:従来比70%削減)の試作に成功し(写真1)、実用的な製造技術を確立しました。
(2) 2025年10月:実環境での性能検証に着手
大分市上下水道局の下水道施設において、実環境での硫酸劣化抵抗性能の実証実験を実施します。実証実験用の小型供試体の作製は完了し、最適な暴露場所を選定中です。

- 今後の展開
耐久性能に加えて力学性能の実証実験も進めることで本技術の実用化を推進し、今後見込まれる下水道更新工事への適用を目指します。
(注1)防菌剤
下水道施設で発生する硫化水素をコンクリートの腐食原因となる硫酸に変える硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌などの活動を阻害する薬剤。防菌剤をコンクリートに適正に配合することで、下水道施設特有の硫酸劣化に対する抵抗性を向上。
ヒューム管などの下水道用耐食性コンクリート製品として多数の実績を有するビックリート製品にも本防菌剤を使用。
https://bic.gr.jp/
(注2)低炭素セグメント(R)
ポルトランドセメントの一部を高炉スラグ微粉末で置換して、コンクリートのCO2排出量を最大75%削減しつつ、1日2サイクル施工も可能な早強性を確保したRCセグメントの製造技術。
https://www.ad-hzm.co.jp/info/2024/20240603_01.php