法政大学資格課程主催シンポジウム 「博物館の持続可能なコレクション管理 ―選択と責任の新たな枠組み―」を 1月24日(土)に開催
法政大学資格課程は、シンポジウム「博物館の持続可能なコレクション管理―選択と責任の新たな枠組み―」を2026年1月24日(土)に、法政大学市ケ谷キャンパスで開催します。
法政大学資格課程では、公立博物館の収蔵資料をめぐる課題について継続的なシンポジウムを開催してきました。第1回では収蔵庫問題の実態を明らかにし、第2回では収蔵コレクションの公開・活用による新たな価値創造の可能性を探りました。
現在、多くの博物館で収蔵庫の限界が現実のものとなり、新規収集の停止や管理困難な状況が常態化しています。さらに自治体財政の逼迫や施設の老朽化により、「なぜ使わない資料を保管し続けるのか」という問いが自治体内部などから投げかけられることも増えています。
第3回となる本シンポジウムでは、博物館がその使命を持続的に果たしていくための「コレクション管理の新たな枠組み」を検討します。これは、専門性に基づく資料の価値評価、多様な保存形態の検討、そして必要に応じた除籍や処分を含む、総合的なコレクション管理システムの構築を意味します。
本シンポジウムでは、博物館資料の中でも特に有形の民俗資料(民具)を事例として取り上げます。民具は収蔵庫問題が特に顕著な分野であり、大量に収集してきた経緯から収蔵スペースの逼迫が深刻化しています。他分野の資料も同様の課題を抱えていますが、資料の性格、保管環境、収集の背景は分野ごとに異なります。そのため、本シンポジウムでは民具に焦点を絞り、具体的な事例を通じてこの問題を掘り下げます。ただし、民具を対象とするのは、その処分を促すためではなく、適切な保存・継承に必要な専門的判断の枠組みを構築するためです。ここで得られる知見は、他分野の資料管理にも応用可能な示唆を提供します。
重要なのは、これらの選択が博物館の恒常性を損なうものではなく、むしろ真に重要な資料を確実に未来へ継承するための専門的判断に基づく取り組みという認識です。本シンポジウムでは、国内外の事例を参照しながら、透明性と説明責任を担保した実践的指針のあり方を検討します。
*本シンポジウムは、科学研究費基盤研究(C)「博物館収蔵資料の保管と活用に向けた調査研究」(課題番号22K01019、研究代表者:金山 喜昭)の助成によるものです。本シンポジウムの内容は出版化を予定しています。
開催概要
■主催 : 法政大学資格課程
■後援 : 公益財団法人日本博物館協会、全日本博物館学会、
日本ミュージアム・マネージメント学会、日本展示学会、
全国大学博物館学講座協議会
■開催日時 : 2026年1月24日(土)13:30~17:30(13時開場)
■場所 : 法政大学市ケ谷キャンパス 外濠校舎2階S205教室
https://www.hosei.ac.jp/ichigaya/access/
■定員 : 200名(先着順・事前申込制) ※会場参加のみ(配信は行いません)
■参加費 : 無料
■申込 : 下記参加申込フォームより事前にお申込みください
参加申込フォーム:https://forms.gle/wvKWRmFy1p4PE9BG8
※申込締め切り:2026年1月22日(木)18:00
■プログラム:
13:30 開会
13:35 問題提起
金山 喜昭(法政大学名誉教授)
「シンポジウム「博物館の持続可能なコレクション管理
―選択と責任の新たな枠組み―」問題提起」
13:55 第1部:理論的基盤(各15分)
半田 昌之(公益財団法人日本博物館協会専務理事)
「博物館の社会的責任とコレクション管理の倫理」
今石 みぎわ(独立行政法人国立文化財機構 東京文化財研究所主任研究員)
「有形の民俗資料(民具)の保存・継承
―自治体によるコレクション管理の現状と今後の展望」
石川 貴敏(法政大学兼任講師)
「収蔵資料の処分の実態とコレクション管理の課題について
―公立博物館アンケート調査結果より―」
14:40 第2部:実践報告(各15分)
高橋 史弥(奈良県立民俗博物館主任学芸員)
「奈良県立民俗博物館―持続可能な収蔵コレクション管理に向けた取組み」
丸尾 依子(山梨県立博物館学芸員)
「民俗資料の廃棄保留と博物館の説明責任―山梨県立博物館の事例から―」
大野 究(氷見市立博物館主任学芸員)
「氷見市立博物館―収蔵庫問題解決への取組み―」
森屋 雅幸(法政大学キャリアデザイン学部准教授)
「地域のコミュニティとの連携と協働―都留市尾県郷土資料館での実践から」
15:40 休憩
15:55 第3部:パネルディスカッション
進行役:田中 裕二(静岡文化芸術大学文化政策学部准教授)
パネリスト:全報告者
17:30 閉会